Star Ocean
Graceful Universe

連載長編小説

45.第三章 第15話

 結局、イーヴとグレッグ騒動により第一回武具大会団体戦は中止にするという決議が、ラクール王国の評議会で可決されたのであった。当然参加費は全額返還され、さらに勝ち残ったチームや一度も試合をしていなかったチームには、謝礼金としてそこそこのお金が渡されることになった。

 クロード達はそのお金を全額、ボーマンの妻であるニーネにプレゼントすることにした。わざわざリンガからラクールへと来てくれ、さらにオペラの娘ローラの子守りをしてくれた、そのお礼である。

 12人の仲間たちは事件の次の日、改めて全員で顔を合わせた。アシュトンのことを忘れて一晩楽しい時間を過ごしてしまったことを、全員が一人ずつ彼に謝った。だがアシュトンもシオンと二人だけの約束をしていたという秘密があったために、たいして気にもしていないような素振りをしつつ、あっさりと全員を許したのであった。

 アシュトンがそれほど怒っていないことに彼以外の仲間たちは安心した。しかしただ一人、エルネストだけはその表情を変えることなく、アシュトンに向けて探りを入れるかのような視線を送り続けていたのであった。




 クロード・レナ・プリシス・レオン・チサト・ノエルの六人は、特にこれ以上エクスペルに居続ける理由もなくなったため、この日の晩に宇宙船で地球へと帰っていった。またオペラとエルネスト、そしてローラの三人もまた、クロード達の帰路の途中で寄ってもらう形でテトラジェネシスへと帰って行ったのであった。

 そのエルネストが持ち込んだ古文書であるが、ボーマンがリンガに帰るついでにキースに渡してくれることになった。かつてクロス洞穴で見つけた古文書を目にしたときの彼の興奮具合いからして、今回のブツもキースの欲求をそそるためには十分であろう。この言語学者による解読が終われば、またボーマンのほうから直々エルネストへ連絡してくれるとの話である。




 こうして、惑星ロザリスの異変から始まったクロードたちの小さな冒険は、ひとまず幕を下ろしたことになる。



――――地球の地下鉄でクロードが出会った、謎のネーデ人――――


――――真夜中にレナとプリシスの家へと忍び込んだ、謎の人物――――


――――惑星ロザリスの神獣ブーシーを密猟していた、アルフレッドという男――――


――――また惑星ロザリスの王都レッジにある酒場にて、チサトが目にしたネーデ人――――


――――エルネストがわざわざキースに解読を依頼するほどの古文書――――


――――エナジーネーデの秘密を知る二人のネーデ人、グレッグとイーヴ――――


――――エルリアの紋章剣士シオン――――



 それでも、物語の歯車は些細ながらもあちらこちらで少しずつ、そして確実に動き始めたのであった。


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